みなさん、こんばんは。
今日は、電力貯蔵用電池として利用されている蓄電池を紹介します。
・NaS電池
ナトリウム硫黄(NAS)電池は、日本ガイシと東京電力の共同開発により2003年に世界で初め
て量産化された大型の電力貯蔵用電池です。
このNaS電池は、負極(マイナス極)にはナトリウム(Na)、正極(プラス極)には硫黄
(S)、両電極を隔てる電解質にはファインセラミックスが使われており、以下のような特徴があ
ります。
- エネルギー密度が鉛蓄電池の約3倍と高い
- 電解質のイオン電導性を保つため約300℃の高温で動作する。
- 電解質が個体のため自己放電が無く、充電効率が高い。
- 期待寿命が15年以上と長寿命である。
- 完全密閉が可能で、ガスの排出が無い。
- メンテナンス性が高い。
また、課題として以下のことがあげられます。
- 常温では動作しないため、ヒーターによる加熱と放電時の発熱を用いて、作動温度域(300℃程度)に温度を維持する必要がある。
- 充放電特性が比較的長い時間率(6 – 7時間)で設計されている。
いろいろと課題はありますが、設置コストも下がってきており、風力発電や大規模太陽光発電等再
生可能エネルギーとの併設、周波数調整、ピークカットシフト、スマートグリッドなどに利用され
ています。
・レドックスフロー電池
レドックスフロー電池は、フロー電池(電解液循環型電池)の一種で、主に電力貯蔵用に用いられ
る二次電池です。
この、レドックスフロー電池は、負極、正極とも炭素繊維でできていて、正極の電解液に金属バナ
ジウム、負極の電解液に硫酸バナジウムの硫酸溶液が使われていて、以下の特徴があります。
<長所>
- サイクル寿命が1万回以上と長い。
- 室温での動作が可能。
- 活物質が液体で外部タンクに貯蔵されるため大型化が容易。
- ガスの発生が無く、爆発・引火性も無い。
- バナジウムのリサイクルが容易。
- メンテナンス性が高い。
<短所>
- 原料のバナジウムが高価である。
- 電解液を循環させるための付帯設備が必要。
- 充電効率が低い。
この、レドックスフロー電池ですが、日本では、住友電気工業㈱さんが有名でしょうか?
2016年12月に北海道で大規模な実証設備を稼働させており、今後、ますます期待できるので
はないかと思います。