みなさん、こんばんは。
今日は、リチウムイオン電池の材質について書きたいと思います。
リチウムイオン電池は、正極と負極の間をリチウムイオンが行き来することによって充電、放電が
繰り返し行える二次電池です。そして、その構造は、正極と負極、そして、電解液からできてお
り、正極にはリチウム酸化物、負極には黒鉛等の炭素素材、電解液にはリチウム塩有機溶媒が使わ
れているという話は、前回に書きました。
それでは、実際に使われている材質には何があるのか、下記にまとめてみました。
<正極>
① コバルト酸リチウム(LiCoO2) ー コバルト系
② ニッケル酸リチウム(LiNiO2)ー ニッケル系
③ マンガン酸リチウム(LiMn2O4)― マンガン系
④ リン酸鉄リチウム(LiFePO4)― リン酸鉄系
⑤ コバルト酸リチウムの一部をニッケルとマンガンで置換したもの(Li(Ni-Mn-Co)O2)― 三元系
<負極>
一般的には、黒鉛などの炭素系素材ですが、東芝のリチウムイオン電池には、チタン酸リチウム
(Li4Ti5O12)が使われています。
<電解液>
有機溶媒にリチウム塩を溶解させた有機電解液が使われており、有機溶媒の種類を下記にまとめ
てみました。
① エチレンカーボネート(EC)
② プロピレンカーボネート(PC)
③ ジメチルカーボネート(DMC)
④ ジエチルカーボネート(DEC)
⑤ エチルメチルカーボネート(EMC)
⑥ ポリエチレンオキシド(PEO)
⑦ ポリプロピレンオキシド(PPO)
⑧ ポリフッ化ビニリデン(PVdF)
<セパレータ>
① ポリエチレン(PE)
② ポリプロピレン(PP)
それでは、リチウムイオン電池にはどれぐらいの種類があるのか、下記にまとめてみました。
① コバルト酸リチウム(LiCoO2) ー コバルト系
この、リチウムイオン電池を最初に商品化されたのが1991年で、ソニーと旭化成による共同開
発でした。正極にはコバルト酸リチウム、負極には黒鉛が使用されたもので、最もバランスの取れ
た正極材料としてモバイル機器を中心に幅広く使用されています。
② ニッケル酸リチウム(LiNiO2)ー ニッケル系
ニッケル酸リチウムを正極に使用したニッケル系リチウムイオン電池は、高容量ですが、安全面に
問題があるとされてきました。しかし、ニッケル系の中でも、NCA系と呼ばれているタイプのも
のは、安全性の確保の為さまざまな開発を行い、商品化されるようになりました。代表的なものと
して、プリウス・プラグインハイブリッドに掲載されています。
③ マンガン酸リチウム(LiMn2O4)― マンガン系
マンガン酸リチウム(LiMn2O4)を正極材料に使用するマンガン系リチウムイオン電池は、他の正
極材料に比べて安く、結晶構造が強固であるマンガンを使用することによって、熱安定性に優れて
いて、安全性が高いリチウムイオン電池です。この結果、現在では、車載用電池の主流となってお
り、日産のリーフや三菱のiMiEV、他にGMボルト・ダイムラー・BMW・北京汽車などに採用さ
れています。
④ リン酸鉄リチウム(LiFePO4)― リン酸鉄系
リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を正極に使用するリン酸鉄系リチウムイオン電池は、2009年に
ソニーより商品化されたものです。(今では、各社から販売されています。)
リン酸鉄系は電池内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくく、安全性が高いことが特徴です。
また、鉄を原料とするためマンガン系よりもさらに安く製造できるメリットがあります。
弊社で取り扱っているパーソナルエナジーに採用されている電池には、このタイプのものが使われ
ており、高出力・長寿命という特徴を持っています。
⑤三元系
三元系とは、安定性を高めるためにニッケルの一部をマンガンとコバルトに置き換えたもので、
2000年に日本とアメリカで開発されました。ニッケル、マンガン、コバルトの三元素が使用され
ているので、三元系と呼ばれています。この形式を採用しているメーカーは、一時期、スズキのレ
ンジエクステンダー向けにリチウムイオン二次電池を供給していた三洋電機や、ホンダが開発を進
めるPHEV向けに電池を供給するブルーエナジージャパンがあります。
⑥チタン酸系
一般的に、リチウムイオン電池の負極には黒鉛が使用されていますが、東芝が製造するリチウムイ
オン電池は、正極にはマンガン酸リチウム、負極にはチタン酸リチウムが使用されており、SCiBと
いう商品名がついています。この電池の特徴として、外力などで内部短絡が生じても熱暴走が起き
にくい、充放電10000回以上の長寿命、6分間での急速充電、キャパシタ並みの入出力密度、寒冷
地寒冷地(-30℃)でも使用可能などがあります。このような特徴を持つチタン酸系ですが、電気
自動車や蓄電システムに採用されています。
⑦リチウムポリマー
リチウムポリマー電池とは、電解液にゲル状の有機溶媒が使用されているもので、重量が軽く、揮
発性・引火性のある電解液を用いるリチウムイオン電池よりも安全性が高いことが特徴です。ま
た、柔軟性にたけているため、筐体が曲がりやすく、過充電・過放電によりショートしやすいとい
う欠点もあります。この電池は、ほぼすべての携帯電話・スマートフォン・タブレット等の電源と
して使用されています。
世の中に、かなりの数のリチウムイオン電池が存在していますが、こんなに種類があったとは・・
ちょっと、おどろきますね。
長くなりましたが、今日はここまでにします。